単元未満株(端株)の基礎

 

この記事では単元未満株とは何なのか、およびその活用方法をご案内いたします。

以下の記事にて株には売買の基準となる単位(株数)があることをご紹介しました。

https://onemorecoin-jp.com/2017/08/05/00025/

この基準単位 = 単元に満たない株は一般的に単元未満株や端株(はかぶ)と呼びます。100株で1単元の株式に対して、1株だけ保有している場合、この1株が単元未満株と呼ばれるわけです。単元未満株と端株は厳密には異なりますが、現在は同じものと考えても実用上問題ありません。

証券会社によって呼び方が異なりますが、プチ株、S株などの名称で単元未満株の売買ができる証券会社もあります。とはいえ、基準単位に満たない端株の売買にはどんなメリットがあるのでしょうか?

■目次

1.単元未満株のメリット
2.単元未満株のデメリット
3.まとめ
4.One More Comment

1.単元未満株のメリット

端株の購入には以下のようなメリットが想定されます。

1-1.株主優待の獲得

年々減少傾向にはありますが、端株でも株主優待を出す企業も一部あります。こうした銘柄は端株優待として一部の優待投資家の間で人気を呼んでいます。

端株優待には一般の株主優待のように保有者全員がもらえるもの以外に、アンケートに答えたら抽選でプレゼントという種類もありますので、懸賞応募に近い性格のものも中にはあります。

<抽選の例>

ダイドーグループホールディングス株式会社(2590)の例です。2017年春号のDyDo Challenge通信(株主通信)に、掲載されている実事例です。

DyDo Challenge通信は春号と秋号の2つが毎年発行されて、毎回アンケートが付いています。つまり、1株でも持っていればアンケートのチャンスが得られるのです。

・ダイドーのアンケート画像

<株主特典>

株主通信を実際に受け取った株主限定での特典を出すケースもあります。

①ダイドーの事例

上記と同じくDyDo Challenge通信春号の抜粋写真です。Webに掲載されているDyDo Challenge通信には未掲載なのですが、実際に手元に届く通信には以下の写真のように割引特典が案内されています。

Web掲載のDydo Challenge通信では案内されていないので、実物を受け取って初めて気が付く特典です。

②KDDIの事例

2017年夏号のKDDI株主通信です。

こちらもWeb掲載のPDFを見ると該当部分は塗り潰されていて、実物を目にした株主でなければ特典に気が付くことができない内容です。

1-2.株価の値上がり期待

上場銘柄の中には1株価格で1万円を超えるような銘柄もあります。

例えば任天堂(7974)の場合、2017年8月16日の終値で36,680円で単元株は100株です。つまり1単元購入するのに、367万円ほどの資金が必要になります。

例えば、Nintendo Switchが売れ行き好調なので任天堂の株を買っておきたい、けれど資金が10万円までしか投入できない。そんな状況だった場合に端株で購入しておくことで1単元は持てずとも任天堂株の上昇期待に対して投資をすることができます。

もちろん配当金も出ますのでご安心ください。

任天堂は2017年3月期の期末配当は430円出ましたが、この配当金は1株当たりの金額で表示されています。

剰余金の配当のお知らせ

つまり、1単元持っていた場合は「430円 x 100株 = 43,000円」の配当ですが、端株で3株だけ持っていた場合は「430円 x 3株 = 1,290円」という形になります。

1-3.長期保有株主優待の権利獲得

ひょっとしたらこれが最も大きいメリットかも知れません。

当サイトでも紹介しているようにビックカメラなど一部の銘柄では、長期間株を保有している株主に対して株主優待をより豪華にする特典を設けています。「長期保有株主優待」や「長期保有優遇制度」など企業によって呼び名が違いますが、いずれにせよ長期間保有する株主を優遇する株主還元策です。


引用 ビックカメラ株主優待制度のサイト

このように長期間保有すると利回りが向上する仕組みですが、一方で資金が少なめな投資初心者としては資金の回転をよくしたいジレンマもあります。

そこで、資金に余裕ができるまで1株だけ購入しておくのです。で3年後に単元株である100株を購入します。すると保有期間3年として長期保有の権利を受けつつ株主優待を受け取ることができるわけです。

または、あらかじめ101株購入しておき、権利落ち後に100株を売却し、次回の権利確定前にまた100株を買い増して101株の保有数にします。このようにすることで株主番号をキープしつつ毎回の株主優待を受け取る。権利落ちから次回の権利確定の間は別の株の購入に資金を回せる。というサイクルを作ることができます。

企業によって、上記のやり方が通じる企業と通じない企業があります。株主番号さえあれば(1株でも持っていれば)保有期間にカウントしてくれる企業と、保有株数も見て保有期間をカウントする企業もありますので、その見分けはご注意ください。

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2.単元未満株のデメリット

2-1.取引時間

単元株は市場が開いている時間であれば、いつでも売買注文を出すことができ、指値注文も成行注文も投資家の自由です。

一方で単元未満株は売買できる取引時間が制限されています。

以下はSBI証券での事例ですが、このように注文を出す時間によって、いつのタイミングで売買されるのかが決まっています。このため、実際に約定する株価がいくらになるのかも投資家には分かりません。


引用 SBI証券:単元未満株(S株)取引ルール

2-2.手数料が割高

一般的に単元株での買い付け手数料よりも、単元未満株の手数料の方が割高に設定されています。

SBI証券の場合、単元株の買い付けに対しては10万円以下の約定代金の場合、手数料は税込み103円です。これに対し、単元未満株に対しては以下のような設定がされています。インターネット経由の単元未満株(S株)手数料体系は単元株とは異なり、「1注文の株式約定代金×0.5%(税込0.540%)下限54円(税込)」となります。

例えば、みずほフィナンシャルグループ(8411. 2017年8月16日の終値191.6円)の単元未満株を購入しようとした場合、1株192円を買おうとした時にかかる手数料が54円となり平均取得単価が246円となります。保有株価に占める手数料割合が大きくなってしまうのです。

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3.まとめ

単元未満株は手数料が高いというデメリットはありますが、メリット1-3で述べたように使い方を工夫すれば株主優待を目的とした投資とは非常に相性が良いテクニックです。

また、1-1で述べたように株を持っていて初めて知る優待もあります。

気になる銘柄があれば、一度単元未満株を購入しておくというのも企業研究の方法として楽しいものになりますので是非試してみてはいかがでしょうか?(企業にとってはコストの高い株主になってしまいますので、その点は株主として自覚はお忘れなきよう)

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4.One More Comment

わすか1株数百円分の株しか保有していないにも関わらず、中間決算と本決算の報告書を受け取ったりすると企業に対して罪悪感を感じたりもします。

一方で、新しい企業との出会いの機会を増やせるのも単元未満株の魅力です。

私は自分の勤め先で使っている複合機がリコーだったので、試しにリコーリース株式会社(8566)の株を1株だけ買ってみたことがあります。リコーリースは事業報告書を半期ごとに送ってきてくれるのですが、丁寧に読みやすく作りこまれていて、会社が取り組んでいるCSR活動の紹介や、従業員の1日の様子などが紹介されています。

毎回企業研究の度に読み込んでいく内に、企業としてとても魅力的だと思いすっかりファンになってしまいました。

単純に利回りだけで考えていたら、このように1企業に惚れ込むことはなかったと思いますので、「単元未満株での試し買いというのは新しい出会いの方法」と私は考えてしまいます。

それでは、明日も良い日を!

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