保険を検討する時に知っておくべきこと [前編]

保険に加入する際に、説明してくれた方の勧めるままに入ってしまったという方も多いのではないでしょうか?保険も種類が多くて、終身保険、定期保険、養老保険...掛け捨てなら聞いたことはあるけど、何が生命保険で何が医療保険なのかもよく分からない。そんな混乱の中で詳しい方に説明を受けると、それが正しいように思えてしまう、というのが背景にあるようです。

ここではそんな「詳しい方」が説明して来ない、実はあなたが意識しない内に既に入っている保険についてご説明します。

目次

1.そもそも保険は出費である
2.既に入っている保険
3.まとめ
4.One More Comment

1.そもそも保険は出費である

「人生の3大出費」や「人生の5大出費」といった言葉を聞いたことはありませんでしょうか?

聞いたことがあると思われた方、その3つないし5つの項目は分かりますか?

人生の5大支出

以下の1~3を人生の3大支出、5つをあわせて5大支出と言います。

  1. 住宅
  2. 教育費
  3. 老後資金
  4. 自動車
  5. 保険

保険は5大出費の1つ

保険は人生の中で長期にわたって支払い続けることが多いものです。そのため、人生の5大出費と言われてしまうほど、実は大きな金額を一生涯の内に払うことになりますので、お付き合いでの加入や人に言われるままに加入するのは、できる限りさけたいものです。

例えば保険に毎月1万円かけていたとします。1年が12ヶ月なので年間12万円。これを10年間続けると120万円。30歳から60歳までの30年間、保険料が変わらず固定のままで毎月1万円ずつとすると実に360万円もの金額になります。車も買えるし、国公立大学の学費にもなります。

複数の保険に入っている方も多いでしょうし、家族分をまとめてお支払いされている方もいるでしょう。そうした分をまとめて、もし月の保険料が3万円だとしたら、先ほどの例だと30歳からの30年間で、1,080万円もの金額になります。

こうしてまとまった金額として見てみると、急に大金を支払っているように見えませんか?1,000万円も保険にかけていたら、むしろ保険なんていらないようにさえ思えてくるかもしれません。

ですので、少しでも豊かな生活を送るためにも、保険は必要最低限に抑えるのが得策だと当サイトでは考えます。

では、保険を必要最低限に抑えるにはどうしたら良いのでしょうか?それを考えるヒントとして、日本人が意識しない内に既に入っている保険を学んでみましょう。

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2.既に入っている保険

以下の記事で社会保険について触れました。会社員の方が毎月の給料から控除として引かれている分の内訳の一部でしたね。

給料の控除って多すぎませんか?

改めて注目すると、まず名称からして「保険」と入っています。また5つの項目が社会保険にはありますが、いずれも「保険」と入っています。そうです、つまり会社員の方は「社会保険」という保険に既に加入し、毎月保険料も支払っているのです。

ここでは特に、医療保険や生命保険に関わりの深い「健康保険」と「厚生年金保険」についてご説明します。

健康保険

日本では「国民皆保険(こくみんかいほけん)」という制度があり、会社員も無職の方も、子供もお年寄りも皆なにがしかの保険に加入することになっています。以下の記事でも触れているように、この健康保険に加入していることで、病院に行った際の医療費は最大でも30%の個人負担で済むようになっています。

退職時の健康保険 3種類もあるのっ!?

とはいえ、保険の勧誘を受ける際には「がんに代表される3大疾病の治療で、先進医療を受けた場合に、何百万円もかかることがあります。こういった場合に備えて先進医療特約も付けましょう。」といった説明を受けたことはないでしょうか?

そうです。健康保険で医療費が最大30%に抑えられるといっても、そもそも何が健康保険が適用される医療なのかが決まっているのです。国の許認可の関係もあり、病院で勧められたからと言って、それが全て健康保険の対象になるわけではないのです。

がんなどの治療の際にこうした健康保険の対象ではない先進医療を受けることが選択肢になることもあるでしょう。とは言え、全額が自己負担になるかと言うとそういうわけでもありません。

例えば、医療費の合計が100万円で、その内20万円が先進医療、80万円が健康保険の対象の医療だったとします。この場合、先進医療が全額自己負担、80万円の内30%の24万円が自己負担となります。つまり、合計で44万円が自己負担として病院の窓口で支払います。

この時、「高額療養費制度」という健康保険の仕組みを利用することができます。これは1ヶ月(1日~末日)の間の個人負担医療費に上限を設けて、上限を超えた金額については国が代わりに負担するという制度です。

医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する「高額療養費制度」(こうがくりょうようひせいど)があります。

上限額は、年齢を所得に応じて定められています。

また、いくつかの条件を満たすことにより、負担を更に軽減するしくみも設けられています。

厚生労働省

詳しい計算はここでは割愛しますが、上記の例ですと30%負担の24万円が約8~9万円で済むようになります。

よって、医療費に関してすべてをカバーできるわけではありませんが、それでも「高額療養費制度」を前提にして、その上で心配される金額的不足分を医療保険でまかなうことを考えるのと、「高額療養費制度」を計算に入れずに医療保険でまかなうことを考えるのとでは、医療保険での毎月の負担額が変わってきます。

健康保険にはいずれにせよ毎月支払いをしているので、健康保険で何がカバーできて、何が不足するのか。これを知っておくだけで医療保険の金額を必要最低限に抑えるヒントになるはずです。

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3.まとめ

健康保険の他、厚生年金など、社会保険でカバーできる公的補償はまだまだあります。

今回の記事では健康保険、特に高額療養費制度のさわりだけをご紹介しました。年金保険による補償については明日もう少しご説明します。

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4.One More Comment

保険は必要最低限に抑えるのが良いと述べましたが、かくいう私自身が社会保険による補償のことを全く知らず、勧められるままに保険に加入したタイプでした。

しかも、医療保険の他、「掛け捨てはもったいない」という思い込みのもとに、貯蓄性があるとの考えから終身保険にも加入しました。

あれから何年も経って、金融リテラシーを身に着けるようになって振り返ると、保険の募集人の方も決して嘘はおっしゃっていませんでした。ただ、保険を勧める上で不利になることもまた、おっしゃらなかったです。当時の私は何も知らなかったので質問することさえできませんでした。ですので、知るということはそれだけでも身を守る第一歩になると自分の経験談としてよく感じます。

それでは、明日も良い日を!

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