配当性向の基礎

企業の配当の度合いを知るための指標として配当性向という指標があります。

例えば、配当利回り2%といった時に、果たしてそれは企業にどの程度余力があるのかは、この数字だけでは分かりません。企業に余力があった増配期待が持てるものなのか、むしろ減配リスクがあると想定されるのか。そうした推測を投資前にできるようにするためにも、配当性向を知っておくことは有効です。

 

配当性向の概要

配当性向は%で表される指標です。

  • 配当総額(円) ÷ 純利益総額 (円) x 100 = 配当性向(%)

で計算することができます。実際に計算する際には決算短信を見て、1株単位の金額で求めた方が分かりやすいかも知れません。その場合は式は上記と同じですが、金額を1株当たりの金額で算出します。

  • 1株当たりの年間配当金(円) ÷ 1株当たり純利益(円) x 100 = 配当性向(%)

配当性向の相場

日本の上場企業平均はおよそ20~30%と言われており、これは欧米先進国の企業と比べると低い割合と言われています。

一方で、では投資を検討している銘柄配当性向30%以上であれば望ましい銘柄なのかというとそうとは言い切れません。

仮に配当性向が30%の場合、残りの70%は内部留保に回され、企業の資金として使われます。成長期にある企業の場合、株主還元を優先するよりも、研究開発や設備投資などに資金を振り向けた方が企業価値が高まりやすいこともあります。

一方で成熟産業で、企業も市場シェアを毎年同程度確保し安定期に入っているような場合は、毎年同程度の配当性向でありながら増配を続けることが期待されたりします。

また、配当性向が100%を超えるようなケースもあります。当期の純利益だけでは配当を捻出できないので、プールしていた資金から原資を持ってくる形になります。このような形は不自然ですので、減配リスクが高いと考え警戒するのが適切です。

このように「配当性向が何%なら良い」といった明確な値はなく、企業の成長ステージに応じて見方が変わります。

こうした配当性向の値や、考え方は企業によってはIRサイトで考えを述べていることも多いので、会社の姿勢を見るためにもチェックしておくと良いでしょう。

One More Comment

企業が買収合戦などで既存株主から票を集めたい場合などに、配当性向を引き上げて株主からの支持を集めようとすることもあります。(大塚家具、など)

配当利回りでスクリーニングをして、やたらと利回りが高い銘柄の場合、こうした特殊事情があったり、配当性向100%を超えていて、前期は高い配当が出せたが今期は難しいだろうと良そうされるなど、将来の配当が安定しないことが良そうされるケースもあります。

うまい話には裏がある、そう思って裏を確認しに行くことが、適切な投資の助けになるのではないでしょうか。

それでは、明日も良い日を!

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